「アンバサダーマーケティングって何?」
アンバサダーマーケティングは高いエンゲージメント率が見込まれるため、今注目されています。
しかし、まだ新しいマーケティング手法なので、よく知らない方も多いと思います。
そこで、この記事ではアンバサダーマーケティングの概要から具体的な実施方法まで詳しく解説しています。
アンバサダーマーケティングとは何か
アンバサダーマーケティングとは、自社製品の熱心なファンに商品サンプルなどを提供したりPR費用を払って、自社製品をSNSやブログなどで広めてもらうマーケティング手法のことです。
単発のPR案件ではなく、長期的なPRを依頼するマーケティング手法です。
「アンバサダー」は英語では「大使」のことを表しますが、ここでは「自社製品・サービスの熱心なファン」のことを指します。
アンバサダーマーケティングでは熱心なファンが情報を発信するためエンゲージメント率が高く、効果的なマーケティング手法と言われています。
インフルエンサーマーケティングとの違い
アンバサダーマーケティングはインフルエンサーマーケティングと混同されやすいマーケティング手法です。
インフルエンサーマーケティングとは、SNSなどで影響力が高い人に商品やサービスのPRを依頼するマーケティング手法です。
アンバサダーマーケティングとインフルエンサーマーケティングは自社の関係者ではない人にSNSなどで商品を広めてもらうという点は共通しています。
しかし、以下のような明確な違いがあります。
インフルエンサーマーケティング | アンバサダーマーケティング | |
---|---|---|
拡散力 | 高い | 低い |
購買へのつながりやすさ | 低い | 高い |
依頼先への報酬 | 金銭 | 商品サンプルの提供 イベントへの招待 など |
依頼先の熱意 | 低い | 高い |
ざっくり言うと、インフルエンサーマーケティングは多くの人に宣伝できるマーケティング手法であり、アンバサダーマーケティングは購買につなげやすいマーケティング手法なのです。
そのため、商品を広く認知してもらいたい場合はインフルエンサーマーケティング、獲得したい場合はアンバサダーマーケティングが適しているでしょう。
アンバサダーマーケティングの5つの魅力
アンバサダーマーケティングには以下の5つのような魅力があります。
それぞれの魅力について詳しく見ていきましょう。
魅力①:エンゲージメント率が高い
アンバサダーマーケティングの魅力の1つ目はエンゲージメント率が高いことです。
エンゲージメント率とは、投稿を見たユーザーのうち、投稿に何らかの反応をした人の割合のことを表します。
たとえば、Twitterの場合は「いいね」「リツイート」などが「エンゲージメント」にあたります。
アンバサダーマーケティングでは製品の熱心なファンが熱意あるアピールを行うため、エンゲージメント率は高くなる傾向にあります。
そして、エンゲージメント率が高いということは、商品を購入してくれる可能性も高いということです。
魅力②:役立つフィードバックを得られる
役に立つフィードバックを得られるという点も、アンバサダーマーケティングの魅力のひとつです。
ユーザーからのフィードバックは他にアンケートなどでも取ることができますし、ユーザーからのクレームもフィードバックと言えます。
ただ、これらのフィードバックでは答える人の熱量はまちまちです。
そのため、時に「ユーザーの意見を尊重した結果、売上が減少した」なんてことも起こります。
一方、熱量が高いアンバサダーからのフィードバックは詳細でなおかつ役に立つものです。
また、アンバサダーの商品に関する投稿に対するコメントもユーザーのフィードバックとして参考になるでしょう。
魅力③:低予算で実施できる
低予算で実施できる点もアンバサダーマーケティングの魅力です。
広告を打つには一般的に多額の予算が必要です。
しかし、アンバサダーマーケティングは基本的に自社製品を無料で利用できるようにしたり、その他の特典をつけたりするだけで実施可能です。
ただ、やはりアンバサダーマーケティングの場合もお金をかけたほうが効果は高くなります。
アンバサダーマーケティングではアンバサダーを募集する必要がありますが、アンバサダーを募集するということを多くの人に知ってもらうためには、やはり広告を打つ必要があるからです。
魅力④:アンバサダーのデータが得られる
アンバサダーのデータが得られることもアンバサダーマーケティングの魅力です。
アンバサダーマーケティングではアンバサダーになりたい人が応募してくる時に個人情報を入力します。
そのため、自社製品に高い熱意を持っている人がどのような人なのか詳細にわかるようになるのです。
また、アンバサダー限定のイベントを開けば、アンバサダーに直接会って生の声を聞くことも可能です。
魅力⑤:ブランディングがしやすい
アンバサダーマーケティングの魅力としてブランディングしやすいという点もあります。
ブランディングとは、企業がユーザーに与えたいイメージとユーザーが企業に抱くイメージを近づける行為です。
ブランディングは自社の製品を届けたい人に適切に届けるにあたって非常に効果的です。
アンバサダーマーケティングを行えば、自社製品に高い熱意を持つユーザーと接触できるため、ブランディングが行いやすくなります。
アンバサダーの生の声を聞くことで、ユーザーが企業に持っているイメージを把握しやすくなるからです。
アンバサダーマーケティングを成功させる5つのポイント
アンバサダーマーケティングを成功させるポイントは以下の5つです。
それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
ポイント①:応募条件を工夫する
アンバサダーマーケティングを成功させるためには、応募条件を工夫するのがとても重要です。
効果的なアンバサダーマーケティングになるかどうかは、応募条件にかかっていると言ってもいいでしょう。
応募条件次第でどのくらい自社製品に熱意がある人が集まるか決まりますし、アンバサダーマーケティングによりどのくらいユーザーを獲得できるかも決まるからです。
たとえば、応募条件は「30文字以上で製品に対する思いを書く」などとハードルを少し高くすると熱意が高いアンバサダーが集まりやすくなります。
ポイント②:SNSでの影響力がある人を選ぶ
アンバサダーを選ぶ時には、SNSである程度影響力がある人を選ぶといいでしょう。
極端な話、SNSのフォロワーが10人ではアンバサダーマーケティングの効果が得られないからです。
少なくとも数百人程度のフォロワーがいなければ、アンバサダーマーケティングで効果を得ることは難しいです。
ポイント③:フォロワーの属性が自社製品のターゲットと一致している人を選ぶ
アンバサダーを選ぶ時には、フォロワーの属性が自社製品のターゲットと一致している人を選ぶのも大切です。
アンバサダーのフォロワーと自社製品のターゲットと一致していないとエンゲージメント率が低くなってしまい、アンバサダーマーケティングの効果が十分に得られないからです。
特に女性に女性用の商品のアンバサダーになってもらう時には、フォロワーの性別の比率を確認しておいたほうがいいです。
ある程度SNSで影響力がある女性の中には、女性に人気がある人もいれば、男性に高い人気がある人もいるからです。
ポイント④:自社製品の熱心なファンに嬉しい特典を用意する
アンバサダーマーケティングを行う時には、熱心なファンにとってうれしい特典を用意するのも大切です。
特典が魅力的であれば、それだけアンバサダーの応募が集まり、その中から理想的なアンバサダーが選べるからです。
熱心なファンにとって嬉しい特典の例としては、自社製品を無料で利用できる権利やアンバサダー限定イベントへの招待などがあるでしょう。
ポイント⑤:PR投稿が少ない人を選ぶ
PR投稿が少ない人を選ぶのも大切です。
SNSである程度影響力がある人は企業からインフルエンサーマーケティングのPR投稿を依頼されることがあります。
PR投稿が多いとフォロワーから「宣伝色が強いアカウント」と思われてしまい、アンバサダーマーケティングをしても「広告」だと冷めた目で見られてしまいます。
そして、アンバサダーマーケティングの効果が十分に得られない場合があるのです。
アンバサダーマーケティングのデメリット2つ
アンバサダーマーケティングには以下のような2つのデメリットがあります。
それぞれのデメリットについて詳しく見ていきましょう。
デメリット①:そもそも熱心なファンを見つけるのが難しい
アンバサダーマーケティングの最大のデメリットは、そもそも熱心なファンを見つけるのが難しいことです。
熱心なファンであることをSNSなどで公言していれば別ですが、熱心なファンであることは本人しか知らない場合もあります。
熱心なファンを見つける方法としては、アンバサダーを募集するキャンペーンを実施することが挙げられます。
デメリット②:アンバサダーはSNSでの影響力が低いことが多い
アンバサダーマーケティングのデメリットとしては、SNSでの影響力が低いことが多いことも挙げられます。
そもそも、SNSでの影響力がある人はかなりの少数派です。
アンバサダーに応募してきた人がSNSでの影響力が高い人である確率はかなり低いと考えざるを得ません。
これを防ぐためには、SNSである程度影響力があり、なおかつ自社商品のリピーターである人に直接依頼したり、広告を打つなどしてアンバサダー候補が多く集めたりする必要があります。
アンバサダーマーケティングを行う5つの手順
アンバサダーマーケティングを行う時には、以下の5つの手順を踏む必要があります。
それぞれの手順について詳しく見ていきましょう。
手順①:企画内容を決定
アンバサダーマーケティングを行う時には、まず企画内容を決定します。
ここではアンバサダーに与える特典、アンバサダー限定イベントを開くのかどうかなど基本的なことを決定します。
手順②:アンバサダーを募集
企画内容を決定したらアンバサダーを募集します。
アンバサダーを募集する方法としては主に以下の2つがあります。
- アンバサダーを募集するキャンペーンを行う
- 自社商品のリピーターに直接依頼する
どちらが適しているかは場合によって異なります。
手順③:アンバサダーに特典を提供
アンバサダーが決まったら、いよいよアンバサダーに特典を与えます。
基本的には、アンバサダーに自社商品を無料で提供する場合が多いです。
手順④:イベントを開催
これは必須ではありませんが、アンバサダー限定のイベントを開催する場合もあります。
アンバサダー限定イベントはアンバサダーがSNSでイベントの様子を投稿してくれるという利点があるほか、アンバサダーからの自社製品への生の声を聞ける貴重な機会にもなります。
手順⑤:SNS・ブログなどへの投稿を依頼
アンバサダーには特典を与える代わりに、SNSやブログなどへの投稿を依頼しましょう。
適切な投稿の数や頻度などは場合によって異なります。
アンバサダーマーケティングの成功事例2選
アンバサダーマーケティングはさまざまな企業が行っていますが、その中でも特に効果的だったものは以下の2つです。
それぞれの成功事例について詳しく見ていきましょう。
ネスカフェ
ネスカフェはアンバサダーマーケティングを語る上で外せない成功事例です。
ネスカフェは「ネスカフェアンバサダー」をCMなどで募集し、10万人のファンを獲得することに成功しました。
ネスカフェアンバサダーの特典はマシンが無料で利用できることです。
大規模な告知を行っただけあり、ネスカフェアンバサダーの応募条件は以下のようにややハードルが高いものになっています。
- ネスレへの会員登録
- 希望理由を30文字以上で記入
- 選考結果を電話で受け取ることへの了承
- ネスカフェをみんなで楽しんでいる様子の写真の投稿
- アンケートへの協力
ネスカフェは写真の投稿からアンバサダー同士の交流も生まれ、ネスカフェが広くファンを獲得する助けになりました。
ポテトファーム
ポテトファームは応募のハードルを低くし、特典を大きくしたことで成功したアンバサダーマーケティングの事例です。
ポテトファームはお菓子メーカーのカルビーが行ったキャンペーンで、アンバサダーが20人を上限に募集されました。
ポテトファームのアンバサダーマーケティングでは特典として自社商品80袋がプレゼントされました。
応募のハードルは以下のように低めに設定されています。
- 告知投稿へのコメント
- Instagramアカウントのフォロー
ポテトファームのアンバサダーマーケティングではハードルを低くして応募の母数を増やすことにより、選ばれた人の「自分は厳しい競争を勝ち抜いた」という高揚感・モチベーションを高めることに成功しています。
アンバサダーマーケティングのまとめ
アンバサダーマーケティングとは、自社製品の熱心なファンに商品サンプルなどを提供し、自社製品をSNSやブログなどで広めてもらうマーケティング手法のことです。
アンバサダーマーケティングには以下のような魅力とデメリットがあります。
そして、アンバサダーマーケティングを成功させるためのポイントは以下の5つです。
実際にアンバサダーマーケティングを行う時には以下のような手順を取ります。