企業の広告戦略として注目を集めているインフルエンサーマーケティングですが、インフルエンサーと契約をして長期的に起用することでどのようなメリットがあるのでしょうか。
この記事では、企業がインフルエンサーと長期契約するメリットや契約の流れ、注意点について解説していきます。
「インフルエンサーに自社製品のPRを頼みたいけど、どんな人に頼めばいいのかわからない」「インフルエンサーを起用してマーケティングに失敗したくない」という人はぜひ参考にしてみてください。
SNSに詳しくない人でもわかりやすいように、契約時に決めておくポイントなども説明していきます。
インフルエンサーとは
インフルエンサーとは、「インターネット上で情報を発信することで、他ユーザーの消費行動について大きな影響を与える人」のことをいいます。
簡単にいうと、SNS上でたくさんのフォロワーがいて、商品の情報を発信することによってフォロワーの購買意思を大きく左右する人がインフルエンサーです。
インフルエンサーはSNSごとに違う呼び方をされており、YouTubeならユーチューバー、Instagramならインスタグラマーと呼ばれています。
インフルエンサーである憧れの人がスタイリッシュな写真や動画とともに商品を紹介することで、「その商品はどこのブランドですか?」「どこで買えますか?」とコメントが殺到するなど、他ユーザーに興味関心をもたせる力をもっています。
インフルエンサーと長期契約するメリット
インフルエンサーと長期契約をすることで、企業にどのようなメリットがあるのでしょうか。
以下の3つのようなメリットがあるといわれています。
- インフルエンサーを毎回探す手間が省ける
- ブランディングに効果的
- インフルエンサーに責任感をもってもらえる
なぜ長期契約にこのようなメリットが期待できるのか、短期的な契約とくらべて次の章から詳しく解説していきます。
「インフルエンサーとの契約を長期にするか短期にするか悩んでいる」という担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
メリット①インフルエンサーを毎回探す手間が省ける
インフルエンサーと短期契約した場合、タイアップのたびに、いちからインフルエンサーを探して、報酬や契約期間を交渉して、自社の商品情報やキャンペーンをプロモーションするうえでのコンセプトなどを理解してもらう必要があります。
毎回これをすると、企業にとってかなりの時間と手間がかかってしまいます。
それにくらべて長期契約だと、契約の説明をする時間や手間を省くことができるので、KPIの分析や新しい広告戦略を考えるなど、ほかの業務に集中することができます。
また、短期契約ではインフルエンサーが変わるたびに関係性を築かないといけませんが、長期契約なら関係をつくり直す必要がないので、企業とインフルエンサー間に信頼関係がうまれます。
メリット②ブランディングに効果的
短期契約のインフルエンサーに商品のプロモーションをしてもらっても、ある程度のマーケティング効果は得られるかもしれません。
しかし、インフルエンサーが紹介している商品がコロコロ変わってしまうと「おすすめって言ってるけど、本当に使ってるのかな」「この企業の商品は信用できないかも」とユーザーは疑いの気持ちを持ってしまいます。
それにくらべて長期契約なら、憧れのインフルエンサーが同じ商品を継続的にPRすることで、「この人がこんなにおすすめしているなら信用できるし使ってみたい」という心理になりやすく、商品や企業への信頼が高まります。
また、短期契約でのプロモーションだと表面的な商品の良さしか伝わりませんが、長期契約なら継続的に何度も商品の良さを発信してもらうことができるので、いろいろな角度から見た商品の特徴や魅力、使い方、口コミをたくさんのユーザーに広めることができます。
長期契約をすることで、結果的に商品イメージが確立され、効果的な企業のブランディングにつながります。
メリット③インフルエンサーに責任感を持ってもらえる
短期契約の場合、1回もしくは数回だけのPRしかできないため、商品やキャンペーンのことを深く理解していなくても、インフルエンサーとして情報を発信することができます。
それにくらべて長期契約の場合、商品やキャンペーンのことを深く知っておかないと、くりかえし情報を発信することはできません。
さまざまな側面から商品の魅力を知ることで、毎回新鮮なプロモーションをすることができ、ユーザーを飽きさせません。
また、短期契約ではインフルエンサーと企業間でお互いのことをよく知らないまま関係性が終わってしまいます。
長期契約では何度もコミュニケーションをかわすうちに、企業側はどんなことを求め、インフルエンサーはどんなことを求められているのか明確になってきます。
インフルエンサーは企業から期待されているという責任感を持つことができ、結果的に質のいいプロモーションにつながります。
インフルエンサーと契約するする流れ
ここまでインフルエンサーと長期契約するメリットを紹介してきましたが、マーケティング効果を出すには、自社がアピールしたい商品や企業カラーと合っているインフルエンサーを見つけることが大切です。
ここからは、実際にどのような流れで契約をしたらいいのか解説していきます。
インフルエンサーの探し方から報酬に関することまで詳しく説明しますので、はじめてインフルエンサーマーケティングに挑戦する担当者の方はぜひ参考にしてみてください。
インフルエンサーの探し方・選ぶポイント
インフルエンサー探しをはじめる前に、以下の2点を社内で具体的に話し合って決めておきましょう。
- どんな人が自社の雰囲気やコンセプトと合っているのか
- どのプラットフォームで商品をアピールしてもらいたいのか
イメージやプラットフォームが決まったら、早速インフルエンサー探しをはじめます。
ターゲット層や商品コンセプトにずれを生じさせないためにも、インフルエンサーを探すうえで事前に確認しておくべきポイントをいくつか紹介しますので、人気があるからと単純に決めてしまわないように注意しましょう。
フォロワー数とフォロワー層
フォロワー数が多いのはもちろん大切ですが、フォロワーが期待しているターゲット層にマッチしているのか確認します。
中にはフォロワーをお金で買って不正にフォロワー数を水増ししているインフルエンサーもいるので、本物のフォロワーであるかを見極める必要があります。
過去の投稿
つい最近の投稿のイメージだけで決めてしまわずに、過去を投稿までさかのぼることで、本当に自社のイメージと合う人なのかを確認します。
投稿を見て、どのような投稿がユーザーから人気があるのかをチェックしておくと、自社製品との相性もわかりやすいです。
コメント欄
他ユーザーの質問に対して丁寧に答えているなど、どのような交流をしているのか知ることで、実際に自社製品とタイアップしたときの他ユーザーへの対応がみえてきます。
また、熱心なファンほどコメントをする傾向があるので、コメント数を見ると濃いファンの数も把握できます。
他企業とのタイアップ
他社とタイアップしている商品カテゴリーや時期がかぶってしまっては、「この人は使う商品をコロコロ変えるから信頼できない」と思われてしまい、結果的に企業のイメージダウンになってしまいます。
また、タイアップの投稿に対するユーザーからのコメントやいいね数などもあわせてチェックしておきましょう。
インフルエンサーへの連絡方法
企業イメージにぴったりのインフルエンサーを見つけたら、まずは連絡をとる必要がありますが、どのような手段で連絡をとればいいのでしょうか。
まずはプロフィール欄をチェックして、メールアドレスなどの連絡先が書いていないか、ホームページのURLがないか確認しましょう。
それでも連絡先がわからない場合は、それぞれのSNS上にあるDM(ダイレクトメッセージ)で連絡をとることをおすすめします。
たまにコメント欄から仕事の依頼をしている企業や担当者を見かけますが、あまりおすすめはしません。
コメント欄は不特定多数のユーザーも見ることができるので、他のコメントに埋もれてしまったり、返信する内容によってはお互いのイメージダウンにつながる可能性もあります。
また、突然メッセージを送るわけですから、相手に怪しまれないためにもメッセージの内容は慎重に考える必要があります。
- 丁寧な文面を心がける
- 企業名や担当者名、連絡先などを記載する
- 相手に興味があるかもわからない状態で仕事内容の詳細をこまかく公開しない
前向きな返信をもらうためにも、以上のポイントに注意して、連絡をとってみましょう。
インフルエンサーの報酬目安
インフルエンサーの報酬を決めるうえでよく使われているのは、フォロワー数を基準に単価を決めていく方法で、フォロワー数が多ければ多いほど、報酬も高くなっていきます。
フォロワー数×フォロワー1人あたりの単価=報酬
フォロワー数を基準に単価を決める方法だと、マーケティング費用をなるべく抑えたい場合、フォロワー数が多いインフルエンサーに依頼するとコストが高くなり負担が大きいです。ただし、そのぶん拡散力は期待できます。
また、商品をプレゼント提供してSNS上で紹介してもらう、ライブ配信で紹介してもらう、新商品の監修をしてもらうなど、SNSはさまざまなマーケティング施策が可能です。
SNSで商品の写真と口コミを投稿するだけの報酬と、イベントなどに来てもらってSNSで写真や口コミを投稿する報酬が同じでは、インフルエンサーのモチベーションにも関わってきますので注意しましょう。
報酬は依頼する内容によっても変える必要がありますので、依頼内容別の報酬の決め方を社内で具体的に話し合って決めておきましょう。
インフルエンサーと契約をする時に決めておくこと
ここまで、インフルエンサーと契約する前に知っておくべきポイントを紹介してきましたが、実際に契約をする時はどのような点をインフルエンサーと企業間で共有しておけばいいのでしょうか。
業務内容や報酬などの細かい内容が伝わっておらず契約後にトラブルになるケースもありますので、お互いに気持ちよく仕事をするためにも、契約時に決めておくポイントについても社内で話し合い、契約書のひな型を作っておく必要があります。
ここからは、以下の7つの項目にわけて、決めておくべきポイントを説明していきますので、スムーズに契約を進めたい企業担当者の人はぜひ参考にしてみてください。
- 業務内容
- 報酬支払い、経費
- 契約期間
- 法令遵守
- 画像の著作権
- 知的財産権
- データ保護
業務内容
インフルエンサーマーケティングの業務内容は、商品をプレゼントしてSNSで紹介してもらう、ライブ配信でPRしてもらう、イベントに来てもらうなど、さまざまな種類があります。
「契約していない業務を要求された」とトラブルにならないためにも、業務内容は明確に決めておきましょう。
もし契約段階で細かく決めることが難しい場合は、「別途話し合いで承諾を得た業務」などと契約書に記載する方法もあります。
長期契約をするなら、業務内容のイメージを固まりやすくするため、長い目でマーケティングプロセスを考えておきましょう。
報酬支払い、経費
報酬は、依頼内容によって変動することが前提ですが、支払金額や単価、報酬の入金スケジュールは明確に決めておき、インフルエンサー本人とも認識を合わせておきましょう。
また交通費など、インフルエンサーにいったん費用を負担してもらう可能性がある場合、経費の支払いルールについても決めておく必要があります。
「経費として請求してもいいのかな」と余計な不安を持たせないようにするためにも、経費の支払いができる範囲や請求方法についてもしっかりと決めておきましょう。
契約期間
契約期間は、依頼内容やPR頻度、回数によっても変わってきますので、インフルエンサーと話し合いながらお互い納得した期間を決めましょう。
長期契約なら、契約更新があるのかどうかも決めておくと、契約を延長したいときでもスムーズに依頼できます。
法令遵守
SNSマーケティングをするうえで、広告の法律を守ることがとても大切です。
たとえば、化粧品をPRするうえで気を付けなければいけない「薬機法」は、広告で使用してもいい言葉の範囲が決められており、範囲を超えた過剰な広告を出してしまうと法律違反の対象です。
インフルエンサー本人に知識がない可能性もありますので、契約前に守ってもらいたい法令については認識をすり合わせておきましょう。
あらかじめ薬機法のチェックシートを作成しておいて、投稿前に必ずチェックシートを確認したり、会社側で投稿前の内容を確認するなどの手順をふむようにすれば、安心感があります。
画像の著作権
SNSマーケティングでは、画像や動画を使用したPRが多くみられますが、他人の作った画像や他人が撮った写真などを勝手にSNSで投稿することはできません。
違反した場合、投稿者本人だけではなく、依頼している企業側も信用を失うことになりますので、著作権のルールについてしっかり伝えるようにしましょう。
知的財産権
インフルエンサーが投稿した写真や動画が、誰の所有になるのかという知的財産権のことも話し合いが必要です。
また、知的財産権がインフルエンサー本人に帰属する場合、企業側が二次利用することは可能なのかどうかも決めておきましょう。
二次利用する場合の費用に関しても考えておきましょう。
データ保護
業務を依頼されたインフルエンサーは、企業の業務内容などの内部情報について知ることになりますが、業務中に知り得た企業情報を勝手に広めたりしないように注意してもらう必要があります。
また企業側も、インフルエンサーの個人情報などを口外しないように気をつけなければいけません。
データ保護は、インフルエンサー側と企業側お互いの情報を守るために知っておかなければいけないので、契約前に認識のすり合わせをしておきましょう。
まとめ
ここまで、企業がインフルエンサーと長期契約するメリットや契約方法、契約の注意点などを解説していきました。
インフルエンサーと長期契約をする場合、単発的な依頼と違って、決めておかないといけない項目が多く不安に感じてしまうかもしれません。
しかし、インフルエンサーマーケティングはこれからまだまだ需要があるといわれており、自社の製品やキャンペーンを知ってもらうことや、企業自体のブランディングに直結する広告戦略として注目されています。
インフルエンサーマーケティングを成功させるには、企業のイメージや求めている雰囲気に合うインフルエンサーを見つけることから始まりますので、どんな人に依頼をしたいのか、どんな業務を依頼したいのか、長期的なプロセスでイメージしてみましょう。