インターネットで商品やサービスを比較して選ぶことが簡単になった今、広告戦略としてより一層注目されているのが「コミュニティマーケティング」です。
「SNSやマーケティングの知識がなく、コミュニティマーケティングの意味も実は理解できていない」という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、コミュニティマーケティングの意味についてわかりやすく解説したあとに、コミュニティマーケティングのメリットや実践している企業の成功事例を紹介していきます。
「コミュニティマーケティングをはじめたいけど何からはじめたらいいかわからない」「コミュニティマーケティングの活用パターンをわかりやすく教えてほしい」という方はぜひ参考にしてみてください。
コミュニティマーケティングとは?
コミュニティマーケティングとは、「企業がコミュニティを通して商品やサービスをPRすること」とよく書かれています。
簡単にいうと、共通のことに興味を持つユーザーの集まり(コミュニティ)を利用して、企業がプロモーションを行うことをいいます。
理解を深めるために、コミュニティマーケティングの具体例をいくつか紹介いたします。
- オフ会や交流会などのファンイベントを開催する
- 質問やレビュー、雑談を投稿しあうネット掲示板
- ユーザーに直接インタビューをする
- 商品のモニター調査に参加してもらう
コミュニティの場やツールは企業が用意したとしても、そのなかで繰り広げられるユーザー同士のコミュニケーションは企業によって作られるものではありません。
より身近で、同じ目線の消費者同士が知りたい情報を交換しあうコミュニティは、何よりも信頼できる「口コミ」の情報ツールとして購買意思の決定に大きく影響します。
コミュニティマーケティングのメリット
ここまで、コミュニティマーケティングの意味を紹介していきましたが、実際にコミュニティマーケティングを活用することで、企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここからは、以下の3つの項目にわけて紹介していきますので、より具体的にコミュニティマーケティングの良さについて考えてみましょう。
- ファンにもっと愛着を持ってもらえる
- ファンから新たなアイデアがもらえる
- ファンが新たなファンを連れてきてくれる
最後にデメリットについても簡単に紹介しますので、「会社でコミュニティマーケティングを検討しているけど、メリットがあるのかわからない」という方はぜひ参考にしてみてください。
メリット①ファンにもっと愛着を持ってもらえる
コミュニティマーケティングを実施すると、同じように関心度が高いファン同士で交流ができるため、企業やサービスに対してもっと愛着を持ってもらえます。
例えば、企業がコミュニティマーケティングとしてファンとの座談会を開催した例で考えてみましょう。
企業がヒアリングしたいテーマを準備して、ファン同士で自由に座談会をしてもらうことで、ポジティブな口コミやネガティブな口コミをダイレクトに回収できます。
また、企業側から意見を聞いてくれたという事実は「ユーザーを大切にしてくれている会社」というイメージを生み、より企業に対する信頼感が大きくなります。
また、コミュニティマーケティングを実施することで、企業とユーザーの距離感が近くなり、ブランディング効果も期待できますし、企業の商品やサービスに対してより愛着を持ってもらえます。
愛着を持ってもらえれば、リピーターになってくれたり、企業がPRするほかの商品やサービスにまで関心を持ってもらえるという新たなメリットも生まれます。
メリット②ファンから新たなアイデアがもらえる
ユーザーから直接意見を聞くことが可能なコミュニティマーケティングを実施することで、ファンから新たなアイデアをもらうことが可能です。
コミュニティに参加しているユーザーは、企業に対してある程度関心が高い熱心なファンだと考えられます。
ファンからの口コミや意見を参考にすることで、ユーザーのニーズが把握でき、新たなアイデアが生まれるきっかけにもなります。
深く商品やサービスを理解しているファンからアドバイスをもらえるのは、今後のマーケティングに活かせる企業の財産となります。
商品やサービスの売れ行きが好調だったり、実店舗の集客率がよかったとしても、どのような面に魅力を感じてもらえているのかを理解しているかどうかでは、大きな違いがあります。
どのような面に魅力を感じてもらえているのかを理解できれば、その良い部分を伸ばしていけますし、新たなアイデアとしてよりファンを喜ばせることにもつながります。
逆に、ネガティブな口コミについては今後改善するべきポイントとして参考にできます。
ファンから吸収した新しいアイデアを商品やサービスに反映させたことをコミュニティで知らせれば、「ファンの意見を大切にしてくれている」と感じてもらえます。
メリット③ファンが新たなファンを連れてきてくれる
コミュニティマーケティングを実施することで、ファンが新たなファンを連れてきれくれるというメリットもあります。
商品やサービスに関心を持ちはじめたユーザーにとって、利用するかどうかの意思決定をするのは企業からの情報だけではありません。
購買意思に大きな影響を与えるのは、より立場が近い同じ消費者目線で発信されている信頼度の高い口コミです。
そんな時に、検討している商品やサービスについて関心の高いコミュニティがあれば、すでに利用しているユーザーから具体的な利用方法を教えてもらえたり、不明点を相談できます。
コミュニティマーケティングが形成されていることで、ファンが新しいファンを呼び、さらに活発なコミュニティとして成長できます。
コミュニティマーケティングのデメリットは効果が出るまで時間がかかる
まずコミュニティをつくるための準備にも時間がかかります。
また、ユーザーが集まるにはコミュニティを認知してもらうこと、ある程度の期間使い込んでもらうことなど、とにかく時間が必要です。
早くコミュニティマーケティングの効果を出したいという方は、すでにできあがっているコミュニティのなかでマーケティングを実施できないか検討してみましょう。
マーケティングの成功事例
ここまで、コミュニティマーケティングを活用するメリットを解説していきましたが、企業ではどのような方法でコミュニティマーケティングを実践しているのでしょうか。
ここからは、5つの企業が実践しているコミュニティマーケティングの成功事例を紹介していきます。
「コミュニティマーケティングの具体的な活用方法のイメージがわかない」という方はぜひ参考にしてみてください。
成功事例①AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)JAWS-UG
「AWS」とはAmazon Web Servicesの略で、Amazonが運営しているコミュニティサービスです。
2010年に小島英揮氏によって日本のAWSとしてJAWS-UGが設立され、日本のコミュニティマーケティングのはじまりとも言われています。
ユーザーがさまざまなイベントや勉強会を開催していて、興味のあるユーザー同士で自由に集まれる交流場として人気があります。
都道府県や初心者同士などさまざまな単位でグループ(支部)がつくられていて、より距離感の近いユーザー同士でコミュニケーションがとれます。
JAWS-UGが拡大したポイントを紹介しておきましょう。
拡大に大きく影響したのは、開設した当初にポイントがあります。
まずは情報を発信することが得意で影響力のある人物をリーダーとして置きます。
そして、リーダーを支持している拡散力のあるユーザーをメンバーに入れることで、製品の良さが広まりました。
ファンがファンを呼び、JAWS-UGというコミュニティを少しずつ大きくしていきました。
成功事例② 無印良品
無印良品が運営する、くらしの良品研究所のなかに「IDEAPARK」というコミュニティがあります。
IDEAPARKでは、このようにテーマを絞ったアンケート調査を実施することがあり、ユーザーからの意見を実際に商品に反映させたりしています。
また、ユーザーがほしいと思う商品や改善してほしいことなどを要望としてコミュニティサイトに投稿できるようになっており、投稿した内容と無印良品からの返信はすべて閲覧できます。
IDEAPARKでコミュニティマーケティングを行っていることで、以下のようなメリットを実現できています。
- ファンから新たなアイデアをもらうことで、ユーザーのニーズを把握できる
- ユーザーの意見を大切にする姿勢をみせることで、ファンにもっと愛着を持ってもらえる
- ファンに喜んでもらうことで、商品のプロモーションやブランディングがしやすくなる
成功事例③ カゴメ
食品メーカーのカゴメでは、「&KAGOME」というコミュニティサイトを運営しています。
&KAGOMEでは、ユーザー同士がカゴメの商品をつかったレシピを共有しあったり、商品の口コミを投稿しています。
また、トマトの栽培をしているユーザー同士が集まるコンテンツも用意されており、栽培中の写真を投稿するなど、企業のビジネスには関係のない会話も繰り広げられています。
ユーザー同士が自由にコミュニケーションをとりあうだけではなく、カゴメ主催でトマトの栽培相談会やモニター募集のイベントも開催されます。
最近ではオフラインで大人数が集まることが困難なため、オンラインのイベントを開催することで、遠方に住んでいるファンと交流できるようにしています。
&KAGOMEでコミュニティマーケティングを行っていることで、以下のようなメリットを実現できています。
- カゴメファンの口コミを集めることで、さまざまな視点の使い方が広まり、新たなファンを呼んでいる
- コミュニティで情報を共有できる環境があることで、カゴメの商品を使う意欲が高まり、ファンにより愛着を持ってもらえる
成功事例④ メルカリ
フリマアプリを運営するメルカリでは、「メルカリボックス」というコミュニティサービスを開設しています。
不用品を出品しユーザー同士で気軽に取引を行えることで、幅広いユーザーが利用しているメルカリですが、配送方法や出品方法などさまざまな疑問点が生まれやすいのも事実です。
メルカリボックスでは、不明点を持ったユーザーがオンライン上で質問を投稿し、知識のあるユーザーが回答するというコミュニティができあがっています。
メルカリボックスでコミュニティマーケティングを行っていることで、以下のようなメリットを実現できています。
- スムーズに問題解決ができる環境が整っていて、サービスの利用促進やファンの定着につながる
- ユーザー同士で知識をシェアすることで、企業が介入せずに不明点を解決してくれるカスタマーサポートのような役割を果てしてくれる
成功事例⑤ @cosme(アットコスメ)
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株式会社アイスタイルが運営する口コミサイト「@cosme」は、おもに化粧品の口コミサイトとして多くのユーザーから支持を集めています。
多くのユーザーから集めた口コミを元に、定期的にベストコスメアワードというランキングを発表しています。
化粧品のパッケージに「アットコスメランキング〇位」とシールが貼られているだけで、多くのユーザーから評価された商品と認識され、商品の信頼性がアップするほど大きな影響力を持っています。
@コスメでは口コミの登録だけではなく、ユーザー同士で悩みを相談できる掲示板もあります。
有料のプレミアム会員になると、よりこまかい検索条件でランキングを閲覧できたり、商品モニターにも応募できます。
@cosmeでコミュニティマーケティングを行っていることで、以下のようなメリットを実現できています。
- 多くの口コミを集めたことで、「化粧品を購入するときは@cosmeを参考にする」というプロセスが定着され、ブランディングに成功している
- プレミアム会員になっている熱心なファンに商品モニターになってもらうことで、多くの化粧品会社に新たなアイデアや消費者のさまざまな口コミを提供できる
まとめ
この記事では、コミュニティマーケティングのメリットや企業が実践しているコミュニティマーケティングの成功事例を紹介していきました。
コミュニティマーケティングをはじめる前に、コミュニティマーケティングを通してどのような目的を達成したいのかを明確にしておきましょう。
そして、自社のユーザーが何を求めているのか、ニーズを把握することも大切です。
インターネットやSNSを通して、さまざまな商品やサービスを簡単に比較し選ぶことが可能になり、コミュニティマーケティングの需要はどんどん高まっていきます。
まずはどのようなコミュニティマーケティングの事例があるのかを参考に、ファンが楽しく参加できるコミュニティを作ってみてください。