SNSの利用者が増えるなかで急速に注目されているマーケティング手法が、「リファラルマーケティング」です。
リファラルマーケティングという言葉すら聞いたことがない、または聞いたことはあるけど実は意味を理解していないという人も多いのではないでしょうか。
リファラルマーケティングの意味を知ると、企業がさまざまなツールを活用してよく実施していて、身近なマーケティング手法であることがわかってきます。
この記事では、リファラルマーケティングの意味をわかりやすく説明したあとに、企業の成功事例やメリット、始める方法についてもあわせて紹介していきます。
「会社でSNS運用を任されたけど、何からはじめたらいいかわからない」「リファラルマーケティングの具体的な運用方法が知りたい」という企業担当者の方はぜひ参考にしてみてください。
リファラルマーケティングとは?
リファラルマーケティングとは、ユーザー同士の「紹介」を利用したマーケティング手法です。
例えば、以下のような方法がリファラルマーケティングです。
- 紹介した側と紹介された側に割引クーポンをプレゼントする紹介キャンペーン
- 紹介者がもっているクーポンコードをECサイトで入力すると割引価格で購入できるサービス
もともと、消費者が商品やサービスを購入する際、企業からのプロモーションよりも、同じ立場である消費者の口コミを参考にすることは現代も変わりません。
SNSが普及したことで口コミの広がりはより大きくなり、ユーザー同士の口コミを活用した紹介制のマーケティング手法が生まれました。
リファラルマーケティングに活用できるツールは自社のサイトやSNSなどさまざまなものがあり、高いコストをかけずにユーザーを取り込める広告戦略として多くの企業が活用しています。
リファラルマーケティングの成功事例
リファラルマーケティングがユーザー間の紹介を利用したマーケティング手法ということはわかりましたが、各企業では具体的にどのような方法で運用しているのでしょうか。
ここからは、企業がリファラルマーケティングを活用してマーケティングに成功した事例を紹介していきます。
リファラルマーケティングの実施を考えている方は、自社の商品やサービスで運用するイメージをふくらませながら参考にしてみてください。
成功事例①Uber Eats
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Uber Eatsは、飲食店のメニューを簡単にデリバリーで注文できるサービスとして、リモートワークをしている人などに人気があります。
Uber Eatsは、紹介した側と紹介された側に割引クーポンを配布するというリファラルマーケティングを実施することで、利用者を増やすことに成功しています。
注文時に使える割引クーポンであれば、紹介する側のリピート率を上げることが可能です。
また紹介される側については、Uber Eatsを知らない人の認知度アップにつながります。
他にも「Uber Eatsの存在は知っているけど、注文の仕方が難しそうで使ったことがない」というユーザーに一歩を踏み出してもらうきっかけ作りにもなり、新規顧客の取り込みに効果的です。
一度UberEatsを利用したことがある利用者は、その新感覚な便利さを知人に伝えますし、さらに割引クーポンを双方にあるので、利用のハードルを下げることが可能です。
Uber Eatsの成功ポイントは以下の2点です。
- 紹介する側と紹介された側どちらにもメリットがあるキャンペーンを実施
- 既存顧客と新規顧客の利用促進につながるプレゼントを用意
成功事例②ダニエル・ウェリントン
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腕時計ブランドのダニエル・ウェリントンは、フォロワーの多いインフルエンサーに商品をプレゼントし、インスタグラムでのPRを依頼することで、認知度を高めることに成功しました。
インスタグラムは写真コンテンツの投稿がメインのSNSです。
自社の腕時計を身に着けてスタイリッシュな写真と一緒に口コミを投稿してもらうことで、そのインフルエンサーに憧れているフォロワーに興味関心をもってもらえます。
また「クーポンコードを入れて購入すると15%OFFになります」のようなメッセージを入れてもらうことで、インフルエンサーと同じ時計がお得に買えるというポジティブな消費者心理が働きます。
ダニエル・ウェリントンの成功ポイントは以下の2点です。
- インフルエンサーの拡散力を活用して、多くのユーザーにプロモーションを行う
- クーポンコードという魅力的なプレゼントを用意することで集客率アップにつなげる
成功事例③Dropbox
オンラインストレージサービスを提供するDropboxは、友達紹介を活用したマーケティング施策を行ったことで、ユーザー登録数を大幅に増やすことに成功しました。
Dropboxは段階的な有料会員制度を作っています。
有料会員になることでファイルを保存する容量を増やせるのですが、「無料会員が友達を1人紹介するごとに500MBを無料でプレゼント」というキャンペーンを始めました。
この紹介制度を利用することで、無料会員のままでも容量を増やせるというユーザーにとって嬉しい施策が、ユーザー登録数を増やすことにつながりました。
また、同じように有料会員向けの紹介キャンペーンを実施することで、新規ユーザーだけではなく、既存ユーザーを大切にする姿勢を示すことに成功しています。
Dropboxの成功ポイントは以下の2点です。
- 紹介する側と紹介された側どちらにもメリットがあるキャンペーンを実施
- 新規ユーザー、既存ユーザーの利用継続を促進できるようなプレゼントを用意することでファンを獲得
成功事例④楽天カード
楽天カードは、クレジットカードのプロモーションにいち早くリファラルマーケティングを採用し、魅力的なプレゼントを提供することで、利用者を増やすことに成功しています。
楽天カードの紹介キャンペーンは、1ポイント1円に相当するポイント付与をプレゼントとしており、紹介した側と紹介された側どちらにもメリットがある仕組みを作っています。
「新規入会で8,000ポイント付与」など大きな新規入会特典を行っていることも多く、くわえて紹介キャンペーンのポイントも付与されるとなるとどちらの立場であっても魅力があります。
しかも、ポイントを付与することで、楽天市場というインターネット通販のショッピングモールを利用してもらえる可能性も高まり、他のコンテンツへの集客効果も期待できます。
このように、プレゼントの内容を企業側にとっても今後のメリットになるようなものにすることで、さまざまな相乗効果が得られます。
楽天カードの成功ポイントは以下の2点です。
- 紹介する側と紹介された側どちらにもメリットがあるキャンペーンを実施
- 他のコンテンツでの集客につながるプレゼントを用意することで企業全体の収益アップ
成功事例⑤Evernote
Evernoteはスマートフォンやノートパソコンで利用できるメモアプリとして、ビジネスシーンで活躍しています。
Evernoteは、実際に利用しているユーザーにロゴマーク入りステッカーを貼ってもらうことを通じて、他ユーザーへプロモーションを行い、ブランディングに成功しました。
以前は会議中にスマートフォンやノートパソコンを触っていると、「話しを聞いていない」と思われるかもしれないという不安をもつユーザーが多く、Evernoteがなかなか活用されない現実がありました。
そこで、Evernoteのロゴマークと以下のような言葉が書かれたステッカーをつくり、ユーザーに配布しました。
「I’m not being rude. I’m taking notes in Evernote.」(訳:私は失礼な態度を取っているわけではありません。Evernoteでミーティングのメモを取っています。)
そのステッカーのおかげもありEvernoteのロゴマークが広告となりました。またブランディングに成功したことで、会議中に安心してEvernoteを活用できるユーザーが増えたのです。
Evernoteの成功ポイントは以下の2点です。
- ユーザーのニーズを即座にくみ取り、不安を解消したことでファンを獲得
- 認知度を高めるため、多くの人が目にする場所で使えるグッズでブランディングにつなげる
リファラルマーケティングのメリット
ここまで、リファラルマーケティングを活用している企業の成功事例を紹介していきました。
リファラルマーケティングを活用している企業は、どのようなメリットを感じているのでしょうか。
ここからは、以下の3つのメリットについて、掘り下げて解説していきますので、リファラルマーケティングの知識をもう少し深めたいという方はぜひ参考にしてみてください。
- 購買に繋がりやすい
- 拡散されやすい
- マーケティングコストを抑えられる
購買に繋がりやすい
消費者が商品やサービスを購入するのに、安心感や信頼性がとても大切です。
その安心感を得られるのが、口コミや紹介を通して同じ消費者目線の意見を聞き、自分を納得させたうえで購入を決めることです。
リファラルマーケティングはユーザー同士の紹介を活用した施策ですが、つまり口コミを活用した施策ともいえます。
親しい人からの紹介であれば、いかにも広告っぽい雰囲気がなくなります。そのため抵抗感なく受け入れてもらえるので、購買に繋がりやすい効果があります。
拡散されやすい
リファラルマーケティングは、SNSユーザーが購入のきっかけになるような、魅力的なプロモーションをすることで、フォロワー以外のユーザーにも情報が拡散されやすくなります。
リファラルマーケティングはSNSを通して活用されることが多く、おもにインフルエンサーに商品をPRしてもらうような施策が該当します。
インフルエンサーが商品をPRするだけでもマーケティング効果はありますが、クーポンコードを出して紹介割引を適用させるなどの喜んでもらえるような施策を活用することで、より拡散性もアップします。
マーケティングコストを抑えられる
リファラルマーケティングはユーザー同士がコミュニケーションをとり、紹介で広げてくれる手法のため、低コストで運用できます。
広告を出稿したり、フォロワーの多いインフルエンサーにプロモーションを依頼する場合はコストがかかってしまいます。
しかし、フォロワーが多い分拡散力は高いため、コストパフォーマンスの良いマーケティング手法といえます。
まずはコストを抑えたマーケティングからスタートしたいという企業には大きなメリットがあります。
リファラルマーケティングを始める方法
ここまでリファラルマーケティングを活用するメリットを紹介していきました。
実際に企業がリファラルマーケティングを行うには、具体的にどのようなことから始めたらいいのでしょうか。
ここからは、リファラルマーケティングを始める方法について以下の3つの項目にわけて説明していきます。
活用方法を詳しく知りたいという企業担当者の方はぜひ参考にしてみてください。
- 参加しやすい簡単なキャンペーンを展開する
- 紹介者と紹介された両方にメリットを用意する
- PRしたい製品に合ったインフルエンサーに依頼する
参加しやすい簡単なキャンペーンを展開する
リファラルマーケティングにユーザーを巻き込むためには、気軽に参加できるキャンペーンがおすすめです。
たとえば、以下のような応募条件でクーポンを獲得できるようなキャンペーンが多く使われています。
- Twitterでは「アカウントのフォロー&投稿のリツイート」
- Instagramでは「アカウントのフォロー&投稿にいいね」
簡単な工数で参加できるシステムにすることで、他ユーザーに紹介しやすくなります。
もし、キャンペーンに応募するための工数を多くしたい場合は、それでも参加したいと思わせるような魅力的なプレゼントを考えましょう。
紹介者と紹介された両方にメリットを用意する
Dropboxのように、紹介した側と紹介された側両方に魅力的なプレゼントを用意することで、リファラルマーケティングの効果を最大限に活かせます。
紹介した側だけにメリットをもたせてしまうと「自分のメリットのためだけに紹介するのは気まずい」というネガティブな感情が生まれてしまいます。
紹介したい相手にも同じようにメリットがあることで、紹介しやすい状況を作り出すことが可能です。
PRしたい製品に合ったインフルエンサーに依頼する
PRしたい商品やサービスを多くのユーザーに広めるために、企業のイメージに合ったインフルエンサーを探しましょう。
商品のイメージと合うライフスタイルを投稿しているインフルエンサーに依頼できれば、同じようなライフスタイルに憧れるフォロワーに一気に情報を届けられます。
リファラルマーケティングを行ううえで大切なターゲット層の絞りこみを効率的に行えるのです。
インフルエンサーを探し始める前に、どんな年代、性別、雰囲気の人物像が製品のイメージに合っているのか、話し合って決めておきましょう。
まとめ
リファラルマーケティングの意味から、企業の成功事例、活用メリット、リファラルマーケティングを始める方法を紹介しました。
リファラルマーケティングは低コストで始められる方法で、導入しやすさも魅力的なマーケティング手法です。
既存顧客のニーズを理解すること、新規顧客に認知してもらうきっかけ作りをすること、そして参加したくなるような有益なプレゼントを用意することで、多くのユーザーに興味をもってもらえます。
これからリファラルマーケティングを始める方も、すでに始めている方も、効果的な広告戦略の手段としてぜひ検討してみてください。
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